真夜中遊園地

シャングリラのブログです

【S35 ダブル】最終89 & 96位 環境適応型トルネオーガイベル

 

1.はじめ

こんにちは。シャングリラ(@pokeShangrira) | Twitter)です。今回は全解禁ルールであるS35において2ROMで最終2桁順位を獲得することができた構築について紹介したいと思います。剣盾3年間のランクマッチにおける最後のシーズンであり、ダイマックス環境を締めくくるルールですので記念として記事を執筆させていただきます。


 

2.PT作成経緯



環境考察

 シリーズ15は伝説のポケモンに加えて幻のポケモンも解禁され、更にGSルールとは異なりPT内におけるそれらのポケモンの採用数に上限が無いルールであり、過去類を見ないほど数値が高い環境となっています。禁止伝説6匹で構成された構築を見ることも稀ではなく、逆に一般ポケモンは一部の例外を除きほとんど見なくなりました。全解禁ルールとGSルールにおける使用率上位のポケモンを比較したのが下の画像です。

右のGSルールでは使用率上位に食い込んでいたガオガエン
、オーロンゲ、レジエレキ、ゴリランダーリザードントリトドンなどほとんどの一般ポケモンは左の全解禁ルールでは軒並み順位を下げています。逆にザマゼンタやホウオウゼクロム、ルギアと言ったGSでは全くと言っていい程見なかった禁止伝説が使用率を上げていました。ただ、全解禁ルールの環境の特徴は単なる採用順位だけではありません。下の画像は自分の対戦記録となっており、左が10月(全解禁)で右がさらに過去数カ月分(GSルール)の相手ポケモンのKPを示したものです。

特筆すべきは上位6体のKPであり、同じ使用率1位のザシアン
でもGSルールでのKPは57.4%だったのに対し全解禁ではなんと81.6%にもなっています。10人とマッチングすれば8人はザシアンが構築に居る環境でした。更に2位以下のポケモンに目を向けるとGSではガエンのKPは50%を超えているもののレジエレキ以下のポケモンは約20~30%に収まっているのに対し、全解禁ではカイオーガイベルタルグラードン、黒バド、エルフ―ンの5体のKPが7位以下のポケモンのそれと比べて35%~60%と非常に高い数字となっています。つまり使用プール自体は剣盾3年間を通して最も広いものの、構築の多様性には欠けており似通ったPTを相手にすることが多いルールだったと感じています。(マジでザシアンカイオーガイベルタルの3体はほぼ毎回相手にするくらいの頻度で対戦していた気がする)

 実際自分も相手の数値が高すぎて一般ポケモンは使いづらいと感じました。ザシアンに強いがカイオーガには不利を取るリザランド、ザシイベルに弱点を突けるもグラードンに攻撃が通せないレジエレキ、グラカイを強打できるもザシイベルを始めとする他伝説に草技が通らないゴリランダー、オーガには強いが他禁伝には数値でごり押されるトリトドンのように特定の禁止伝説には仕事ができるためGSでは構築に席があった一般枠の場合、役割対象が相手の構築に居てもそれ以上に苦手な相手が多すぎて選出し辛かったです。その為、それらより数値の高さ故汎用性が高く幅広い相手に戦える禁止伝説を採用し複数体を組み合わせて戦う事を選ぶ人が多かった結果が上の使用率なのかと思いました。

 ただ上位の一般ポケモンの中で唯一、エルフーン
はGS期と比べ採用率を上げていました。エルフーンは特定のポケモンを対策するためではなく追い風を始めとする補助技で味方全体をサポートするポケモンです。禁伝を際限なく使えるようになったこのルールでは一度追い風で上を取ればイベルタルカイオーガ、黒バドザシアン等の攻撃で畳み掛けられるのに加え、威嚇要因であるの数が減った結果Aダウンへの警戒が薄れ甘えるの通りが良くなった為に幅広い相手に対し仕事が期待でき、腐りにくいポケモンとなった為ここまで数が増えたのかと考えられます。


作成経緯

 と言う全解禁環境を踏まえたうえで構築を組んでいきます。まず構築の軸となるダイマックスエースですが、大前提として先に上げたの5体に不利を取らないことが必要だと考えました。むしろ、全解禁ルールの環境上この5体に有利に戦えたらほとんどの構築と互角以上に戦えることに繋がります。ついでにエルフーンのいたずら甘えるに耐性を持っているのが望ましいのですが、特殊型だとチョッキを持ったカイオーガイベルタルのバークアウトで簡単に止まりかねないのが懸念点でした。 これらの条件を考慮して上で最終的に物理イベルタルダイマエースとして選択しました。相性有利な黒バドは言うまでもなく、グラードンも不一致のダイロックで打たざるを得ないため自身にバフを掛けさせない点、イベルタルカイオーガも物理打点でぶん殴ることが可能です。悪タイプなので悪戯心により妨害も無効な為、ガエンランドが数を減らして威嚇を受ける機会も減った事と併せて攻撃を下げられにくく安定した出力を期待できる点も強さの一つであり、ダイアークのDダウンとシナジーは無くとも命の珠と元のダークオーラで十分な攻撃性能を発揮することが可能となっています。


しかし物理イベルタルはダイバーンを使える特殊型と違い相手のザシアンを殴れない為、巨獣斬を等倍で受ける耐性も込みでどのようにザシアンを対策するかが課題となっていました。そこで相手のザシアンはイベルの隣で倒すことで対策することにします。イベルタルの強さはダイアークの超火力と並び、ダイジェットをタイプ一致技として強く使える点にもあります。単なるS優位を取るのための1手ではなく大幅な削りも期待できることから、ダイアークを選択できなくともダメージレースでそこまで不利を取りにくい長所を活かす為、相方にはジェットを乗せて価値がある制圧力を持ち何よりザシアンをワンパンできる鉢巻ASグラードンを採用しました。倍率的には柔らかい砂でもH降りザシアンを倒すことはできますが、威嚇や壁等のデバフに対しても強く何よりダイマックスカイオーガイベルタルとの集中により倒しうる超火力に魅力を感じ鉢巻での採用となっています。

 構築の軸であるダイマックスエースとその横に並べるスイーパーは決まったので次に先発役を考えていきます。イベルタルは巨獣斬でぶった切ってくるザシアンの他に、ダイジェットを打とうとも追い風でS優位を取り上から殴ってくる状況を作られるエルフーンも苦手としているので、それに強いことが求められていました。エルフーンの対策は大別して
エルフーンは攻撃参加できないのを利用し、攻めの厚みが足りない相手の攻撃を耐久値で受けきる
・こちらも追い風をぶつけてS優位を取らせない
の2パターンがあります。これを踏まえて先発にはトルネロス
チョッキカイオーガを選択しました。エルフーンと同じく悪戯心で追い風を打てるトルネロスですが凍える風が大きな差別化点となっています。単純にお互い追い風を打ち合っても元のS関係はそのままですが、向こうの追い風に対して凍える風→追い風と後手打ちすることで2ターン目以降S優位を取れるようになるだけではなく相手より1ターン長く追い風を維持することが可能です。また、仮に相手のエルフ―ンも偉く初手追い風を打たず光の壁等を選択してきた場合も凍える風でS関係が逆転しているので挑発で相手の追い風を阻止できるのでこちらの場合でもS優位を取りエルフーンを腐らせることができます。一方突撃チョッキカイオーガは耐久値でエルフーンを対策する枠です。ゼクロムの攻撃やザシアンのワイルドボルトを除けばほぼ確実に相手の攻撃を耐えてくれるので、トルネとカイオーガでW凍える風→追い風で確実に上を取り2ターン目以降の行動に繋げる動きが強力でした。それに加え非追い風PTに対しては素直に追い風+潮吹きを選択することで大幅な削りを入れられる動きの幅の広さも強みとなっています。


 残りの補完枠ですがグラードンで手が出ないイベルタルに対して強く、ついでにザシアンにもダイジェットと合わして確実に優位を取れる最速封印ザシアンと、同じくグラードンが苦手なランドロスに強くザシアンの上から鬼火を打ち込めてスイーパーとしての制圧力は申し分ない黒バドレックスを採用し6体を決定しました。

結果的に自分も使用率上位のポケモン上から詰め込んだメンツになっちゃった

以下常体

3.個別紹介

イベルタル


持ち物:命の珠
性格:意地っ張り
技構成:イカサマ/ゴッドバード/不意打ち/守る

努力値:60-244-12-0-4-188
実数値:209--200-117-×-119-143
H:10n-1
A:11n 
   H201-B115イベルタルをダイジェットで31.2%の低乱数(89.0~105.4%)
   H213-B118までのホウオウをダイアークで確定1発
S:準速90族抜き
PTのエース。ダイアークの火力はすさまじく特にカイオーガ、ホウオウ、ルギア等Dが高く特殊型なら処理が大幅に遅れるポケモン達を早急に処理できるのが非常に強力だった。GSルールだと威嚇が辛い運用上本来有利なランドロスにすら打ち合いで不利を取るため使いづらさが勝っていたが威嚇が減った全解禁環境ではそのパワーを遺憾なく発揮してくれるため非常に頼りになるポケモンだった。非ダイマ時も不意打ちに加えイカサマのおかげでザシアンも殴れるため飛行技を選択しない限りはそこまで使い勝手も悪くはない。飛行技がゴッドバードなのはダイジェット時の威力が140にした場合に相手のイベルタルが乱数1発圏内に入ることを評価した為。非ダイマ時はほぼ打たないが前期は守る読みでトドンとカイオーガに計2回選択した。

グラードン

 
持ち物:拘り鉢巻
性格:意地っ張り
技構成:断崖の剣/ヒートスタンプ/ストーンエッジ/10万馬力

努力値:0-252-4-0-0-252
実数値:175-222-161-×-110-142
ASぶっぱ
イベルタルのダイジェットを乗せて相手を一掃するスイーパー。鉢巻断崖の火力はすさまじく、素のダイアースと同等の打点を相手2体に与えられるのは非常に強力だった。当たれば。基本は後発だがザマゼンタ入りのコーチング軸に対してはトルネロスと共に選出し10万馬力で積極的にザマゼンタを削りに行っていた(後に残しておくとザマゼンタが倒しきれなくなる可能性があるため)ダイジェットや追い風、凍える風等S操作が豊富なこの構築では素早さを伸ばしている恩恵が大きくそこまで耐久の薄さは気にならなかった。火力は高い方が楽しいだろうと意地っ張り。

 

トルネロス

 
持ち物:気合いの襷
性格:臆病
技構成:凍える風/追い風/挑発/守

努力値:4-0-0-252-0-252
実数値:155-109-90-177-100-179
CSぶっぱ
追い風と凍える風の2種類のS操作を操るサポーター。挑発を持っている最速エルフーン@メンタルハーブ以外のエルフ―ン相手を腐らせられるのが強みであり、相手構築に黒バドが居た場合はそっちに襷を譲り渡している(=S振りではなくHBDの耐久振り)だろうと予想し動かすことも多かった。極力追い風は選択せず後回しにするよう意識し後ろにS優位を残せるよう立ち回っていたが、ザシアンと対面している場合は電光石火で襷の行動保障を突破される可能性があるのでそこは場面に応じて最適手を選択するのが望ましい

 

カイオーガ

 

持ち物:突撃チョッキ
性格:控え目
技構成:しおふき/熱湯/雷/凍える風

努力値:252-0-12-156-28-60
実数値:207-94-112-209-164-118
HB:A244ザシアンの+1じゃれつく耐え(80.1%~94.6%)
HD:C202カイオーガの珠雷を95%で2耐え(42.5%~51.6%)
C:11n
S:遅いカイオーガが抜けそうな値
素の数値と突撃チョッキを併せた特殊耐久と抜群を突かれにくい水耐性による行動保障が非常に頼りになる先発要員。アースリボンを付けた”100人抜きのカイオーガ”だが別にエース運用はしない。GSルールでC実数値220のタイプ強化アイテム持ち個体を愛用していた為どうしても水技の火力不足を感じたが、あくまで盤面作りのためのポケモンであると割り切っていた。水技が根源の波動ではなく熱湯なのは先発での非ダイマ運用が主であり制圧力よりも確実な削りが欲しかった事と、後発のグラードンも非ダイマで断崖を連打する予定なので命中不安技を打つ回数を減らす為。



ザシアン
 

持ち物:朽ちた剣
性格:陽気
技構成:巨獣斬/じゃれつく/封印/守る

努力値:0-252-0-0-4-252
実数値:167-222-135-×-136-220
AS
イベルタルをワンパンできてザシアンを文字通り黙らせられるのが強み。格闘技や電光石火が無いので対応範囲にはやや劣り火力も中途半端で耐久も無いので殴り合いには不安しかないため信用したくないポケモンだが先の2体さえ止めればイベルタルが制圧してくれるため求めている役割を果たすには十分だった。特に封印はイベルタルのジェットと合わせることで50%の同速勝負も回避できる為、守る択を排除し詰め易さに貢献してくれた。



 

黒バドレックス

 
持ち物:呪いのお札
性格:臆病
技構成:アストラルビット/鬼火/身代わり/守る

努力値:12-0-4-188-52-252
実数値:177-94-101-209-127-222
HD:C202カイオーガの雨しおふきを最高乱数以外耐え(84.7~100.0%)
C:H199-D136ザシアンをアスビで75%の乱数2発(46.7~55.7%)
ザシアンとランドロスを上から倒しきるための採用。襷をトルネロスに取られた為、行動保障が欲しいと身代わりと鬼火を入れてみたところイベルタル前でも不意打ちを気にせず動かせるようになり非常に使い勝手が良かった。環境的に物理イベルタルが増えバークアウト持ちの個体が減っていたことも追い風だったと感じる。取り敢えず身代わりを選択することでイベルタルのダイアークによるDデバフが相手に入るのを待ちながら放置されていた場合そのまま爆アドを得られるため”待ち”の選択を取れるのが強力であり、襷が無いことは全然気にならなかった。

4.選出

基本選出

初手:トルネオーガ
後発:イベル+グラorザシアンor黒バド
構築の軸となる選出。凍える風を連打しながら相手を削りイベルタルとその隣で全抜きしていく。基本はグラードンだがイベルタルが居た場合はザシアンが、ランドロスが居た場合は黒バドの選出も候補に挙がる

ザマゼンタ軸(ホウオウグラードン入り)

初手:トルネグラ
後発:イベルタル+ザシアンo黒バドr
カイオーガの通りが悪く逆にグラードンが強い場合の選出。先にも書いたが初手から10万馬力でザマゼンタを削りにかかる。

 

 

5.総括

実質的に剣盾の最終シーズンであるS35を最終二桁順位で締めくくれてよかったです。また、GSルールで度々考察線上にあがるも結局実用化できなかったダイマ物理イベルタルの構築を完成させられたことも嬉しく思いました。久しぶりにちゃんと自分のブログで記事書いて疲れた


SVにおいても引き続きダブルバトルを楽しんでいきたい思うのでよろしくお願いします。ここまでお読みいただきありがとうございました